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先成「喧嘩で君が負けたなんて…信じられない」先成は驚いた表情でそう呟いた。
純「……俺だって…信じられねーよ。喧嘩じゃテンパったり、怒り狂ったら負けだって分かってる俺が、テンパっちまったんだよ」
純は悔しそうに言った。
ここは病院。先成は純のお見舞いに来た。そして、ひったくリーマンとの喧嘩について聞いた。
先成「君の得意の心理戦でも勝てないなんてね。相手が悪かったみたいだな」
純「悪いとかじゃねえし……。認めたくねーけど…格上だ。喧嘩の腕も、頭の良さも」
純の口から出た言葉は、純をよく知ってる者ならば、有り得ない物だった。
自ら敗北を認める言葉を放った。
純はプライドの高い男だった。それ故に、勉強でも他の奴に負けたくない一心で、偏差値を75まで上げた。
喧嘩でも同じだった。自分をいじめた相手を倒し、もっと強くなりたくて兄貴と組手をし、負けたから兄貴に勝つ為に努力した。
純のプライドは、積み重ねた努力だった。誰にも負けない程の量の努力。
純(………兄貴に会わせる顔がねぇよ…)
純は心の中でため息をついた。
先成「……君のお兄さんなら…勝てるだろうか」
純「………。いきなり何だよ。兄貴なら勝てるか?とか……」
先「なんとなく、ね。君の師であるお兄さんなら…どうだろうって思っただけだ」
純「そうだな…。勝てる…な」
先成「そうか……。ところで、脇腹は大丈夫か?痛めつけられたのに、無茶して蹴ったりしたんだろ?」
純「ああ…。安静にしてるようにだって。折れてはないし、ヒビも入ってないらしいし。大丈夫だ」
先成「それは良かった。さて、ここに来た理由は、君のお見舞いもあるんだが、もう一つある。君に…仲間を紹介したいんだ」
純「仲間…?ああ、お前が雇った奴ね。三人いたっけか」
先成「そう。今日来てるのは…二人だ。呼んでくるよ」
先成はそう言って病室を出ていった。
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