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先成は耳を疑った。
親に一泡吹かせたい?意味が分からない。
金を貰って豪遊するくらいなら、親に分けると言った奴が、こんな事を言うなんて。
先成「どういう事だ?憎んでるワケじゃないんだろ?」
先成は早口で言った。
純「憎むワケねーじゃん。ただな…何ていうか…親父はな、子離れできてないんだよ」
純は苦々しい表情だ。
先成「ふーん…。子離れできていないのが…何か嫌なのか?」
純「すっっっっげぇうぜぇ」
先成「具体的に何がうざいんだよ」
純「そうだな……。俺は喧嘩を兄貴に教えてもらったんだけど、その兄貴は親父に喧嘩を教えてもらったんだよね」
先成「……つまり、君より君の父親の方が強いという事か。ちなみに、君の父親は何を…?」
純「警察庁長官なんだよね。
で、俺より親父の方が強いってのが問題なんだよ。ちょいと昔話聞いてくれ」
純は目を閉じ、話し始めた。
俺が12歳の時が悪夢の始まりだった。俺が小学校から帰ってくると、出張から帰ってきた親父に会ったんだ。三か月振りだった。
純「お父さん!おかえりー!」
リビングに入って親父が帰ってきてんのに気付いた俺は、ランドセルをソファーに置いて、親父の元へ駆け寄った。
それが間違いだったんだ……
親父「じゅ~ん~!パパは会いたかったずぅおぇぇ~~~!!」
親父は鼻水を垂らしまくり、涙目になりながら俺に抱き付いた。
もうね、キモいったらありゃしねーよ。
純「ぎゃああぁぁぁ」
親父「うぇへへへへ!可愛ぇのう!可愛ぇのう!!」
親父はそう言って俺に頬擦りしてきた。
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