地図から消えた村

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一族が屋敷に集まった時の事だった。 長男の一郎さんと、その嫁の美香さん、そして6歳になる息子の一君。 その息子の一君が、暇を持て余し、両親に何も言わずに屋敷を出て、外に遊びにいった。 都会に暮らす一君にとって、森に囲まれた山奥の屋敷は、好奇心をくすぐる物がいっぱいだったのだろう。 一君は、虫を追いかけて森に入ってしまった。 深い森は、慣れた人間でなければ迷ってしまうような場所である。 案の定、一君は森で迷ってしまった。 一君がいない事に気付いた両親は、屋敷の中を探すも、もちろん一君は見付からない。 残る場所は森だけ。 一郎さんは、昔は森に詳しかったが、都会暮らしで故郷を離れていたために、森の中の目印を忘れてしまっていた。 そこで、お爺さんの世話係である、小口を呼んで、一緒に森に入る事にした。 小口は、昔から森の近くに住んでいた。 身寄りのない小口は、お爺さんに拾われ、お爺さんの世話をするようになっていたし、森に入る機会も一郎さんよりは多かった。
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