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小口は、慣れた様子で、獣道を進んでいく。
小口は、森は危険だからと、猟銃を持っていた。
猪や熊など、いつ出てくるかわからないからだ。
一郎さんは黙って小口の後ろを静かに進んで行くだけだった。
薄暗い森の中は、独特の緊張なのだ。
普通だったら息子の名前を叫ぶ所だろうが、小口から伝わる緊張と、森の雰囲気がそれを許さなかった。
小口は、過去に森の中で熊と猪に襲われているのだ。
背中と太ももには、その時の傷が今だに残っている。
小口は、辺りを見渡しながらユックリと確実に安全を確認しながら進んでいった。
一人で森に入るなら、自分の身だけ守ればいい、しかし今回は一郎さんが一緒だ。
一郎さんを守りながら進まなければならない。
これは思っていたよりもずっと大変だったのだ。
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