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僕の朝はいつもこんな感じで始まる。
僕はこんな阿保なやつに付き合わされる可哀相なやつなのだ。
そして僕等は登校途中にも、他愛のない話をする。
「ねえ、俊也」
「うん? なに?」
「アンパンの定義ってなんだろうね?」
……いきなりなにを言っているんだか?
長い付き合いだが、未だに詩織の思考がわからない。
しかも真剣な面持ちで聞いてきたんだが?
……正直どうでもいい。
「そりゃ……あんこが入ったパンだろ」
僕の低いスペックの頭から引き出した結果、それしか出てこなかった。
……いや、高くても多分でないと思うけど。
「あんこなら何でもいいっていうの? あんこっていうのは今は小豆あんが主流だけど、元々は中国の、肉あんが入った饅頭が日本に伝わってきて、仏教徒は肉が食べられないから、代わりに小豆を甘く煮詰めたものを詰めたのが、日本の饅頭の始まりよ。一説ではあるけども」
……うん、よく知ってるね?
台詞がずいぶん長いし。
で、日本の饅頭の始まりがどしたの?
「だから一概にあんこっていっても小豆とは限らないわけ。肉あんが入っててもアンパンなわけ?」
「……ハンバーガーでいいんじゃない?」
もしくは餃子。
正直どうでもいい。
「ハンバーガー……じゃあ今度からアンパンのこと、ハンバーガーって呼ぶことにするわ」
「それとこれとは話が別だと思う」
小豆あんはどう考えても、ハンバーガーには結び付かない。
アンパンは一応日本食だし。
「……じゃあどう呼べばいいと思う?」
「……アンパン」
むしろそれ以外無いでしょ。
あったら驚きだ。
「……アンパン……なぜか新鮮な響きだわ……」
詩織さん、貴女の反応の方が新鮮ですよ。
そうこう言っている間に学校に着いた。
徒歩10分で着く距離だからね。
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