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小学校低学年、しかも女子の腕力だ。
被害はせいぜいタンコブ程度だったが、紛れもなく京は発症した。
それからというのも、京は定期的に壊した。
ある日はガラスを。
ある日は花瓶を。
ある日は皿を。
とにかく壊した。
ここで両親が見限ってしまえば楽だったかもしれない。
しかし、綾世巧と綾世洋子は娘を愛した。
そして、綾世京は両親の愛を受けて更に壊れていく。
両親からの愛が申し訳なく、破壊衝動がやまず、愛と衝動のせめぎあいが小学生に処理できるはずもなく――それは京の心を蝕んでいった。
喜びが飽和し、疑問に朽ち果て、破壊に身を任せたのは――両親からの愛故に。
心を愛に殺された少女――綾世京。
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