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一向に止まない雨。それどころか雨は勢いを増し、さらには風もかなり出てきた。
「マズイのう……」
古龍観測者がポツリと呟く。確かにこのままではマズイだろう。
かといってこの天候は自然の摂理。人間が抗えるものではとうていない。
やがて天候は雷雨へと姿を変える。雷は轟き飛行船は風に殴られる。
すでに舵は制御しきれるものではなかった。
ふ、と雷雲の中で白く光るものが見えた。
「龍だ……」
信じられないことに雷雲の中を龍が舞っていた。
空の王と呼ばれるリオレウスでさえも届かない上空。
確かに俺はそこで龍を見た。
「あー……もしかして大ピンチ?」
「今さら何を言っとるんじゃ!何が起こるか分からん。しっかり掴まっとれ!」
言われた通りにしっかりと飛行船に掴まる。目は白い龍から外さなかった。
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