第一章 【新天地。そして窮地】

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 こちらには興味がないのか龍は一向に空中を漂い続けるだけだ。襲ってもこなければ離れることもない。  やがて龍は更に上空へと昇っていく。その姿は雲に隠れ見えなくなった。 「一先ずは安心か……?」  そう思った直後。飛行船が大きく揺れた。何が起こったのか把握できないまま飛行船から投げ出されそうになるがなんとか堪える。 「滝……?」  飛行船が揺れた原因。それは風でも雷でもなく水だった。  飛行船に直撃する水。水と言っても雨のような小粒な物ではなかった。例えるなら、そう。ガノトトスのブレス。あれを何倍も太くしたものが上空から落ちてきたのだ。  完全に操作が出来なくなった飛行船は地上に向けて落下を始める。  この高さから落ちて無傷でいられる可能性は低い。 「落ちる落ちる落ちる落ちる落ちる落ちる落ちるってぇぇぇぇぇえええええええ!」
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