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「ついたぁー」
マユミが言う。
四時間もかけて那覇から船に揺られてきたのだ、少し…いや、結構疲れた。
「タイシまだかなー」
私が言うと、船つき場にバラバラと停めてある車を見回していたマユミが、「ねぇ、アサー」と呼んだ。
「んー?なにー?」
振り返ると、マユミが細い声で答える。
「あれ、あの白い軽トラック?」
見ると、白いケッパコ(静岡の農家の息子が私にケッパコと教えてきたので、私はケッパコと呼んでいる)の運転席で、小さいオッサンがこっちに気づいて手をあげてあいさつしてくれた。
「おぉー」
車から降りてくるオッサンに同じようにあいさつをする。
マユミが後ろから
「あの、あれが、タイシ、さん?」
とついてくる。
「いよー、タイシ元気ー?」
「おう、元気よー。そっちも思ってたより元気そうで、よかったなー」
「あ、こっち、この子が電話で話したマユミ、あ、えのちゃんね」
マユミに手を差し出すと、マユミはそろそろとお辞儀をした。
電話では、ずっと2ヶ月くらいこっちの状況やあちらの状況について話をしてきてるんだけど、やっぱり電話じゃ、ねぇ。
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