2人が本棚に入れています
本棚に追加
「じゃあ、付き合ってくださいって言ったらどうします？」
あまりにも自分は関係ないという素振りを見せるものだから。
「私はセンパイのこと好きなんですよ？」
この言葉は嘘でもない。でも本当でもない。
「いや、それ、本気？」
「本気ですよぉ。
そういう流れでカレカノになるって多いんですよ？」
「いや、だって……」
「じゃあなんでそういう話をしたんです？『センパイが』欲しがっているからじゃないですか？」
「う……それを言われると……」
「なら、なりましょうよ彼氏彼女の関係に」
「……わかった。よろしく」
という感じにして私とセンパイの関係が始まった。
私の気持ちはアイマイだったけど、多分センパイもしっかりしていなかったに違いない。だって――
「センパイ、私のこと本当に好きなんですか？」
何度も繰り返した定型の会話。答えはそう、
「好きだよ？」
「私も好きです。うふふ」
でもやっぱりその言葉は、空々しいものでしかなく。
すぐに、
「ねえ、この関係、白紙に戻さない？」
「やっぱり、違いますよね」
涙も出なかった。
だって、恋人関係は偽物でしかなかったもの。
最初のコメントを投稿しよう！