QそしてA。

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少女は聞きました。 「貴方はだあれ?」 ヒトは答えました。 「悟りきった愚者だよ」 少女は言います。 「悟りきったというならば、答えてもらおうじゃない」 悟りきった愚者は言いました。 「いいよ。これは自分の意見で見地だから、一般大衆の意見で見地じゃないからね」 少女は言いました。 「わかったわ。じゃあ、卵が先か鶏が先か」 悟りきった愚者は答えました。 「鶏」 少女は聞きました。 「何故?」 悟りきった愚者は答えました。 「生物的見地から言えば、最初の方の生物って、細菌類じゃない?まぁ、形から言えば、球形とかだから卵っぽいかもしれないけど、栄養を摂取しているだけでなくて動いているのだから、鶏」 「ふうん、じゃあ人間はどうして学ぶの?」 「暇つぶしだから」 「何故?」 「生きていくだけじゃ物足りなくて、よりおいしく食べる方法を考えた。そんな感じ」 「へぇ。 じゃあ、戦争が終わらないのはなんで?犯罪が消えないのはなんで?」 「人を踏みにじるのが好きな人間がいるから。それだけじゃないけど。それなりに生きるのに必死なんだよ」 「じゃあ人間はなんで死ぬことに恋焦がれるの」 「生きることに満足したからじゃないかな」 「貴方は?」 「生きているのに飽きた。 満足したから、飽きた。 満ち足りたから、もういらない。 そんなところかな」 「あたしもそういう風になるのかしら」 「ならない方がいいよ。こんな風なんて」 「そうかしら」 「そうだよ」 「じゃあ最後に。人間をどう思う?」 「美しいと思うよ。最低だけど。反吐が出るくらい最悪だけど。なんでこんなのに生まれてきたんだろうって思うけど。でも、美しい、と思うよ。君にも出会えてよかった」 「そうなの?変な人」 「人じゃあないよ。愚者さ」 「愚者も人じゃない」 「違うよ」 「そうなの?」 「そうだよ。希望も夢も願いもない人間なんか人間じゃないよ。ただの蝶を追っかけて崖から落ちる愚者さ」 「そうかしら」 「うん」 「ふぅん。まあいいわ。ありがと悟りきった愚者さん。冥土の土産に私の名前を教えてあげる。『病院塚闇姫』。それがあたしの名前。覚えてくれなくてもいいけど」 「こちらこそ、ありがとう。こんなくだらない話をきいてくれて」 「いいわよ。そんなの」 少女はじゃ、と言って愚者から離れた。
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