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ひっそりとした暗灰色の部屋を抜けて、
厚いカーテンに遮られたリビングに出た。
少年の脇位まである高いテーブルの上には、無機質に書かれたいつものメッセージとラップにくるまれた朝食と本日の弁当。
気分だけでも明るくしようとカーテンを開ければ、東向きである窓から眩しい日の光と温い熱が伝わる。
明るいのはやはり好きだなあとしみじみ感じながら、朝も早いのにと思いながら意外と手の込まれている朝食を食す。
昨夜のうちにそれとなく準備しておいた荷物と、弁当を持って、
「行ってきます」
玄関を後にした。
うららかな午前の日差しを受けながら、聞くわけでもなく寝るわけでもなく授業をいなし、
ぼんやりとしているうちに昼食時。
なんとなく腹時計が正確に警告音を響かせるので、本日のお昼の場所を探してうろつく。
あぁ、今日は晴れているからピクニック日和だよねぇと考えて、建物の屋上、芝生広場にて擬似遠足気分を満喫しつつ弁当を食す。
「ごちそうさまでした」
その後は、学校近くのファミリーレストランでアルバイトをこなす。そこはデザートが美味しいのか女性客が多い。
何故か自分が注文を聞きに行くと客が色めき立つのが不思議でならないが。
「ありがとうございました」
帰宅すれば、直ぐに洗濯機を動かし、夕飯の準備をし、お風呂を沸かして入り、夕飯を食す。
そして、明日の準備をして、
気づく。
ああ、そうか僕は一人だったっけ。
ところで、この少年は幸せなんだろうか。
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