魔法使いの隠れ里

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俺達の里には昔から悪しき風習があった。血が濃くならないように、里を四つに分け、年に一度の祭の際に年頃の男女を主役にし、男性が女性に対し求愛をするというものだ。 近年では成人の儀式として、度胸試しのようなものとなっていた。 俺――ノヴァ=クラフトにとって、この風習はまさに地獄のようなものだった。 燃えるように赤い髪。体内に内蔵する異常な量の魔力。 お伽話に出てくる、かつて勇者とともに魔王と戦ったとされる大魔導師『ノヴァ=ミアード』。言い伝えられる彼の特徴とそっくりな俺は、彼の名を貰い、「ノヴァ=ミアードの再来だ」と持て囃されてきた。 しかし、この風習のせいで俺はそんな自尊心を全て失った。
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