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夜明けの海で物語が始まる理由を
この世界に産まれたばかりの君は知らない
ここでは誰もが自分の居場所を見つけ
罪ですら愛してくれる人を探す
悲しげなメロディは終わりの合図
僕らには目を暝る事しか出来ない
誰かの寓話が完結をしてしまったら
残された人々はそれぞれに思い、
自分の残りの物語に微かに影響する
心臓という概念はない
あるのは意識と欲望
それ以外は眩しくて見えない
名前とは決別した
もう意味がないんだ
だって君以外必要ないから
夜明けの海は少し冷える
潮騒が肌をなでる
たとえばここで僕が思い出すのは
君の誕生石や歩き方のクセ
誰かと上手く話す方法より
よっぽど大事なことだよ
夜明けの海は僕らを今から遊離させる
まるで流木、割れた貝殻、
色褪せたサイダーの容器みたく
そこは始まりになる
夜明けの海に広がるこれらが
僕が悲しいと思う理由を
この世界に産まれたばかりの君は知らない
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