第四章・想い出の君たち

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「康之と薫ちゃんって空手習ってるんだよね?」 半年後のある日の下校時間、すっかり2人と打ち解けまるで昔からずっと一緒にいるようになった美穂子が聞いてきた。 「そうだよ」二人が答えると「見に行ってもいい?」と美穂子が2人の顔を見て聞いた。 「えっ…」 といったまま康之と薫は目を合わせ黙ってしまった。 「ダメ?」美穂子が尋ねると「うーん…」顔を伏せながら二人は声を合わせて言った。 「ダメなの?なーんだ。つまんない」 と残念そうに言った美穂子だったが、次の土曜日二人には内緒で康之の母親に道場へ連れて行ってもらった。 道場を覗き込んだ美穂子は汗を流す二人を見つけた。 いつもはちょっとカッコつけている康之も泣き虫の薫も見違えるほどカッコいい。空手に集中している姿は真剣そのものだった。
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