第四章・想い出の君たち

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「ただいま」 空手着を肩に掛け帰ってきた二人は『誰?』というように美穂子を見た。 「お帰り。この子は引っ越してきた岡野美穂子ちゃんよ。同じ二年生よ。仲良くね」 「こんにちは、岡野です。この子は美穂子。同じ二年生なの。よろしくね」 母親に紹介された美穂子は恥ずかしそうに母親の後ろに隠れてしまった。 「こんにちは」 二人の男の子は元気に挨拶した。 「おばさん、今日また薫は泣いたんだよ」 一人の男の子が女の人を見ていった。 「あらまた?」 ちょっと困ったような顔をしたがすぐに笑顔になり「紹介が遅れたわね」と男の子たちを紹介してくれた。 「この子がうちの薫でその子が友達の康之くん」 活発そうな子が康之、また泣いたと言われた子が薫だと紹介された。二人ともぺこりと頭を下げた。 「康之くん……沢田さんとは小さい頃からの幼なじみでね。康之くんの家はそこの角を曲がって5軒先のお宅なの」 角を指差して薫の母親が言った。 「お聞きの通り薫は泣き虫で……ちょっとは強くなるように康之くんと一緒に空手に通わせてるんだけど…」 後ろの方では、女の子の前で泣いたと言われた薫が康之を小突き何か文句を言っているようだった。
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