第四章・想い出の君たち

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次の日の放課後、美穂子の教室まで康之と薫が迎えに来てくれ、一緒に下校した。 「岡野さんはどこから引っ越してきたの?」 康之が美穂子に聞いた。 「……○○県だよ」 ○○県と言われても小学校二年生にはどこにあるのか分からない。 「ふーん。遠いの?」と無難に答えることしかできない。 「車で五時間くらいかな」 「うわー遠いんだね」 薫は驚いたように言った。 「薫はね、よく『薫ちゃん』って言われて泣くんだ。ね薫ちゃん?」 「やめろよ康之!」 ランドセルをカタカタ鳴らし、ふざけた康之を薫が追いかけていく。 ちょっと先まで行ってしまった二人は後ろを振り返り「岡野さん早くー」と手招きした。 それからは毎日一緒に登下校をし三人の仲は急速によくなっていった。
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