死は転がるようにやってくる

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彼は電柱に体を預け、胸元から煙草を取り出す。そして、火を点けて、吸う。 慣れた手付きから、長い年月喫煙していることがわかる。 何をするでもなく、ただ彼はたたずんでいた。 目的はなく、目標もない。 やがて、彼の前を一人の少女が通り過ぎた。 それに続くように少女と同じ年頃の少年が通り過ぎる。 なんの不思議もなかったが、彼はその二人の後ろ姿を眺め続けることにした。 理由なんかない。 生物である以上、動くものを目で追ってしまうのは仕方がないことだった。 暫くして、少女は完全に見えなくなり、少年だけが辛うじて確認できるほどまで両者の距離は開いていた。 だが、それは突然だった。 彼は煙草を携帯灰皿に押し付け、突如として駆け出した。
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