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俺、今市紘佑(いまいちこうすけ)は最近わけのわからない感情に苛立っている。
この感情が現れ始めたのは高校に入学してから。中学のときはなかったと思う(というか中学時代は部活に捧げていた)。
高校に入って早々名字をからかわれたが、そんなのはもう慣れている。もともとそんなに短気なほうでもないし。
そしていつからか、一人の人間のことで俺の頭はいっぱいになった。
名字は三河(みかわ)。名前は知らない。違うクラスだから。
染色か否かわからない茶色の髪に中性的な顔立ち。可愛いとかいうより綺麗なその容姿は女子に好評で、わりとモテているらしい。
成績優秀の優等生なのにガリ勉っぽくはなくて、むしろ童話に出てくる王子様のように儚げで美しい。
勉強も運動もできる、まさにパーフェクトなやつだった。
そしてそんなやつをいつも物陰から見る俺。なんていうか、情けない。
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