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なんでこの状況で寝れるんだとかそんな疑問は置いといて、とりあえず三河を保健室へ運んだ。
身長も俺のほうが高いし三河はわりと細いのでなんとかいけた。
「先生、三河くんが貧血で倒れました」
「あら大変っ、怪我は?」
「ありません。ベッド借りていいっすか」
「ええどうぞ」
先生の許可を得たので三河をベッドに寝かせる。三河はどう考えても王子なのに、まるで眠れる美女みたいだと思った。
「今市くん? あなたはもう戻っていいわよ」
睫毛の一本一本までじっくり見つめていると、先生が声をかけてきた。あれ、なにしてんだ俺。
ふと我に返る。壁に頭を打ち付けたい気分だ。
「じゃあ戻りま――あ、」
戻ります、と言いかけたところで三河が目を覚ました。
「三河? 起きたのか?」
「今市……じゃなくて、こうすけ」
名前の発音が微妙に平仮名なのがおかしくて、でもなんていうか、心臓が騒ぐ。
もしかしたら赤くなってるかもしれない顔を背けることで三河から隠した。
「三河、大丈夫か?」
「大丈夫か、って」
三河が少し笑う。原因を作ったのはお前だろ、という意味だろうか。
まあ確かにそうなんだけど。
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