繊細

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「てゆうか、今日デートって言ってなかったっけ」 「女性ならさっき帰ったよ」 「あー……そう。なんか言われなかった?」 僕がデート中に女性を怒らせたりフラレたりすると、彼はいつもそう訊くのだ。 「別に何も。僕はシナプスについて考えてたから」 「今日はシナプスかよ。で、今からどうすんの。うち来る?」 「いや、散歩がしたい」 今日は天気がいい。休みの日ともなれば家に引きこもる彼を連れだして散歩でもしたい気分なんだ。 「今日天気いいもんなー」 彼は目を細めて空を仰ぐ。 そういえば、今日はまだ彼から彼の名前を聞いていない。 ああ、僕も君って呼んでない。 「もっと洒落た服を着ればいいのに」 「え? 俺の服がダサいってこと?」 「そしたら君ぐらいの顔だから女性が寄ってくるだろう」 彼は顔がいい。僕に告白する女性やデートしたがる女性曰く僕の容姿は上の中らしいが。でもそれって微妙だな。 とにかく彼は少し洒落た服を着て髪にもう少し気をつかったならば僕よりモテそうだ。 「俺の名前はキミじゃなくて花里竜一ですーって、そんなおだてても何も出ないよ?」
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