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水分を含んだ布が肌につくのがうっとうしい。
一歩一歩が重くて、まるで足に鉛でもつけているような気分だ。
「ねぇマコト。今もやっぱりシナプスとか北欧神話とか冬の大三角形について考えてんの」
後退るように沖へ向かう花里。バランスを崩したのか、体が海に消えた。
――残念、今はパントマイムについて。そう言えたらよかったのに。
「残念、今は君についてだ」
胸元まで迫る水の中に手を伸ばす。目を開けなくても君の腕の位置ぐらいわかるのさ。
掴んだ腕は離さない。離してしまったら永遠にお別れだと知ってるから。
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