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「ありがとうございました。じゃあな、君。」
「待って」
家の前にとめてもらった車を降りると、何故か花里も降りてきた。
「あのさ、マコト。今日は本当にありがとうね」
「なにが?」
「海とか、……止めてくれたのとか、ハンカチとか色々」
海は別に奢ったわけでもないから僕に礼を言う必要はないと思う。まあいいけど。
「あと、」
花里がうつむく。しかしすぐ顔を上げ、いつになく真面目な顔で僕を見た。
「あのさ、俺……どうかしてた時、足が止まらなくてね。どうしようって思ってたら、マコトの顔が浮かんで」
だから、止まれたんだよ。
最後にそう言って、花里はにっこりと笑った。
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