吸血

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「うー……、ん?」 「あ、起きました? 顔色悪いし、死んだのかと思った」 「だれ?」 目が覚めて一番に見たのは黒髪の少年。いや、少年って言っても十七くらい? 「はじめまして、死人サン」 「え、死人って」 「顔色がまるで死人でしたから」 失礼な子だなぁとも思ったけど、多分この子は気を失う前に見た茶色い髪の少年だ。 あそこは光が眩しいくらい入ってたから見間違えたんだろう。だからあの金に光る目もきっとそうだ。だっていまこの子の目は黒い。 「ここまで運んでくれたの?」 「ハイ。まぁそうですね」 「ありがとう」 できるだけ笑顔で言うと、彼は思いきり顔をしかめた。 「チ、入ります?」 「ち?」 「……血液」 少年はそう呟くように言って、ポケットからカッターを取り出す。 それを軽く、横に引いた。 「おれ、カミソリって怖いんですよね」
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