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駄目だ駄目だ駄目だ。
そうじゃなくて、違う、嫌だ、助けて。
『体温はいらない』
「……どう、しよう」
もう取り返しはつかない。後戻りなんてできはしない。彼に助けを求めても、意味がないなんて知っている。幼なじみだからね。
「知らない。なるようにしかならないよ」
「そんな……」
ほら、やっぱり。彼がおれの望んだ言葉を吐いたことなんて、数えるくらいしかない。
「安心しろよ、一ノ瀬。お前は何もしてないから」
そんなことを言ったって、おれが何もしてないことはないんだよ。だから不安なんだ、泣きたくなるんだよ、ねえ。
駄目なんだ、このままじゃ。きっとおれの方が悪いことをしてる。罪が軽いのは彼の方。
「どうしよう、どうしよう……」
「一ノ瀬?」
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