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「雨まだ止んでねぇし…」
全速力で自転車を漕いで、本屋に着いたのは今から40分前。
本屋に着いた時は、今にも止みそうな小雨が降っていた。
「むしろ強くなってるだろ…」
イライラしながら、<紫原 潤平>と書かれた鞄を自転車のカゴに入れる。
…ったく…
この寒い12月の雨の中、後30分自転車を漕がなければならないなんて…
後30分、雨も待っていて欲しかったもんだ…
そんな不満を抱えながらも、俺はペダルを漕いで走り出した。
………ピリリリ
机の上の携帯が鳴った。
「お、だーれだ?」
携帯を開くと、
<潤平>という文字が光っていた。
俺はボタンを押し電話に出る。
「はぁい、雅人だよ~っ」
「わりぃけど…遅くなるから飯の当番変わってくんねぇ?」
あれ?今日潤平が飯当番だっけ?
<当番表>と書かれた紙に目をやる。
今日は水曜日。
確かに水曜日は潤平が飯当番だった。
「分かった、俺が作っとく!だから…潤平、ゆっくり帰ってきて?焦んないで」
電話の向こうの潤平は、明らかに息が切れていて、急いでいるのが丸分かりだった。
「ありがと、雅人。ゆっくり帰らせてもらうよ。じゃあ、あとで」
そういって、電話は切れた。
外は雨。
潤平は寒いだろうから、温かいものでも作ろうかなぁ…
早速俺は準備に取りかかった。
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