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だだだだだだだッ
廊下に響く足音と弾む呼吸音。瞬間、陰が飛んだ。
「みさっちゃぁあ~~~~~~んっ!!!!」
「っうわあ~!?」
衝撃を和らげるように緩く傾いた体。それに密着する体。
「どしたんすか、明俊さん」
“みさっちゃん”こと後輩の御沢亮(ミサワマコト)に自分の出せる最大限の力で抱き着く僕、渡邉明俊(ワタナベアキトシ)。
「あ~~もうぅ。今日もええ匂いやねッみさっちゃん」
問い掛けに応えないまま御沢に脚までも預ける。
「わっ、と…ほんまにどしたん?明俊さん危ないすよって」
御沢は苦笑しながらも渡邉の体を支えている。
「僕重いか?」
「全然ですよー。」
「軽いー?」
「自分で言う?」
「せやって…朝飯おかわりしてもうてん。乙女としては気にするやん?」
業とらしく頬を赤らめてみる。すると視界が揺れて、御沢が笑っていた。
「ちょ、なに…ほんま何言い出すかと思えばっ…あんたは、もうっ」
くつくつと笑う彼の上で必死でバランスをとろうとする渡邉。
「あっ、あ、こら!落ちるからぁ!亮ぉ、おいっ」
それまで茶化していた渡邉が一転して落とされまいと真剣だ。
「あ、あはっ。すいません…いやぁ~しかし、明俊は軽いなー」
そう言ってそのまま歩きはじめ。
「おま、さん付けも敬語も忘れとるがな」
緩やかな歩行のリズムに揺れながら笑う二人。
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