塩飴

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 「……はあ」 「もう、ため息止めろよ。ミドリンに藻が生えるだろ」 冷たく言う目間は準備が終わったらしく鷹巣の前の椅子に座っていた。  ミドリンとは生物室の水槽で育てられている緑亀のことだ。 「親友より亀かいっ」 「ミドリンはデリケートなんじゃボケェ」 「……教師は正しい日本語を使ってくださーい」 他愛ない会話中にも鷹巣はずるずると机にうなだれていった。 「………」 「……なに?」 「別に」 「……」 「……」 「……………あのさ」  長い沈黙の後、鷹巣が独り言のように呟きだした。
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