酸っぱい飴。

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 「良いんですか?学校で飴なんて」 「……」 「……」 「…………秘密だ。」 「………」」  ああ、それは反則でしょうに。秘め事を僕と共有するというのかあなたは。いささかの目眩が僕を襲う。 「ありがとうございます。」 強く握った左手に口付けしてみせる。もちろん先生は見ていない。  「失礼しました」  いまだ五月蝿く鳴る鼓動を窓硝子に置き去りにして退室する。  「はあ……」  暫く歩いてからコンクリートの壁にもたれる。 「…先生……」 まだ緊張のせいか手の平が冷たい。「あ…」拳の中の楕円に今一度高鳴った鼓動__  びりりと銀紙を切り、中身を取り出す。 「………ぅ~~~っ!?酸っぱい!!?」  楕円の砂糖の塊を頬張ると、襲ってきたのは想像しなかった強烈な酸味だった。  僕は結構賢い方だと思ってたんだけど。  相対性理論も理解してるつもりなんだけど。  好きな人の行動原理ばかりは考えられなかった。  自分の脳で計算できる程度の人間を僕が惹かれる訳無いか、なんて今更回答欄を埋めてみて。 なんだろう、この感覚。 頬の内側が痒い。
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