Lonely Prince

─１─

家臣は青年の声と行動にビクリと肩を揺らし、そのまま唇を噛み締めてしまった。

青年はそんな家臣を一瞥すると、手に持っていたグラスを床に落とす。

パリン！と耳をつんざくような音に、青年はうっとりと目を細めて口元を歪ませた。

「いい音じゃ」

そう呟き、青年は自身の髪に指を絡ませながらそのしなやかな指で残酷にも次々とテーブルの上の食器を床へと落としていく。

ここで漸く、口を閉ざしていた家臣が意を決したようにラディアの腕を掴み悲願するように眉を下げた。

「王子…もうお止めになってくださいっ…その食器は、わざわざ海の向こうから取り寄せた高級品にございますっ！」

「っ！…触るな無礼者！」

家臣の言葉より、自身の体に触れられたことにカッとなったらしい青年は家臣の手をほどき頬を平手で打つ。

乾いた音が一つ響いてから、ふっと青年が床に尻餅ちをついた家臣を嘲笑った。

「それに、その高級品にわざわざ不味い豚飯を乗っけたのはどこの料理人じゃ？」

そう言ってまた鼻で笑えば立ち上がり、青年は床に散らばった料理を踏みつけながら言い放つ。