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20分後、街灯の下にいた男は本を片手に腕時計を見つめた。もうすぐ5時に差し掛かっていた。
(そろそろか…)
街灯の電気が点いて、暗くなりかけていた周りがまた明るくなっていく。近くには人工的に作られた川が流れており、夜のデートスポットにはうってつけの場所にと変わった。
遠くの方から、走る音が段々聞こえてきた。その音はどんどん大きくなり、こっちに近づいてくる。そしてそれは人影となり、街灯によってその姿があらわになる。
「ご、ごめん!! 待った??」
あらわになった姿は重装備した女性の姿だった。防弾チョッキにジャケットを這おうという、一般の女性では考えられない格好ではあった。しかし彼女は警察員(アンチスキル)に所属しており、男もまた警察員だった。
「待った?じゃないですよ! あんな狭い区域を担当してんのになんで俺より遅いんですか!? 持ってた本読み終わっちゃいましたよ!」
「うぅぅ… ごめん」
女は半べそ状態になっていた。男は髪をむしりながら、ため息をついた。静かな沈黙の後、男はしゃべり始めた。
「………俺も言い過ぎました。すみません……」
「……いいよ。私が悪いんだし。本当にごめん。清ちゃん」
「仕事中にその呼び方はやめろっていっただろ! 」
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