36人が本棚に入れています
本棚に追加
「なぜ共存など考える」
一人の男は口を開く
同時に床が揺れ、天井に
あったヒビがさらに大きくなる
周りには火が燃えうつっており
からかうかのように揺れていた
しかし、男はまるで
何もないかのように語り続けた
「人間はその人にしか
持っていないものがある
価値観、ルール、感情、
思想、色々だ
どちからを認めれば、どちらかを否定することになる
綺麗ごとを並べても、
所詮は上辺だけの愚か者の詭弁
これが人間だ! 分かり合う
ことなど決して出来ない
それでもまだ共存出来ると
ぬかすか、答えてみろ!」
連動するかのように、
上から天井の一部が落ちてくる
だが動かない
そして今まで黙っていたもう
一人、いや
――もう一つが口を開いた
「それは、間違ってる」
男の眉が動いた
そしてそれをとらえ続けて次の言葉を待っていた
「僕はね――」
揺れが止まり、火は弱まる
来るはずがない静寂が訪れた
最初のコメントを投稿しよう!