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「お姉ちゃんどこまで行くの?」
「もうちょっとだよ❗お姉ちゃんについておいで」
いいものを見せてあげる!と言われ連れられてきた薄暗い洞窟のなかで僕ははぐれないよう必死にお姉ちゃんの後をついていった。
「ほら!もうすぐだ!!」
お姉ちゃんはそう言うと、さらに奥へと小走りで先に行ってしまった。
「あぁ~、お姉ちゃん待って~」
何度もつまずきそうになりながら、必死にお姉ちゃんを追いかけた。
「こっちこっち」
少しいりくんだところをなんとか抜けると、お姉ちゃんがこちらを向いて待っていた。
「これだよ、これが見せたかったんだぁ」
洞窟の奥に着いたのか、壁に指をさしている。薄暗いためお姉ちゃんの表情はわからなかったけど、声の感じから笑っているのか楽しみな気持ちを抑えられないという感じで少し興奮しているようにめ感じた。
「どれ?」
僕もそんなお姉ちゃんに感化されたようで、津波のように押し寄せた好奇心を抑えられず急いでお姉ちゃんの元へ駆け寄った。
「ほら!!これだよ!!」
指の指している方へ目線を合わせた。
薄暗い闇のなかはっきりとは見えないが、そこには直径15cmほどの薄い円盤状の石が祀られるように置かれていた。その円盤状の石は全ての光を吸収しつくしてしまうのではと思うくらいの黒く、その反面石の表面がとても滑らかで、少しの光でも反射しその石は異様なまでにキラキラと黒く輝いていた。
「わぁ!!すっごく綺麗だ」
「ふふ、でしょ」
僕の発した言葉に気を良くしたのかお姉ちゃんは自慢気に話し始めた。
「でもこの石はね、ただきれいなだけじゃないんだよ」
「えっ!?そうなの?」
「うん、この石には不思議な力があってね、この世界とは別の世界に私たちを連れ出してくれるのよ」
「ええっ!そんなの絶対ウソだぁ!!」
僕の生きてきた短い人生で、そんな魔法みたいな事は有り得なかった。それに、お姉ちゃんは僕の事をからかっているのかとも思った。
「へへへ!嘘じゃないんだなぁ」
少しバカにしてるように聞こえた。
「絶対嘘だね!!もうっ!!お姉ちゃんは僕のことバカにしてるだろー!!!」
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