1.異常

7/10

9人が本棚に入れています
本棚に追加
/28ページ
「なぁ……がいら」 「先に一言言わせておくれ。 質問はその後受け付ける。 それでいいかい?」 ……話すのを止められてしまった。 だが、何やら重要な話らしい。 だから、俺は無言で頷いて肯定する。 「……よし。 ならまず始めに、此処は幻想郷って場所だ。 幻想郷は、幻想になった者や物体が流れ着く場所。 基本的にそうやって外の世界……あんたが居た世界だね。 そこで幻想になったらこの幻想郷に来る。 まぁ、物事には当然例外もあるんだけどさ。 ここまでは平気かい?」 ……言葉や単語の意味は分かる。 現状が異常なのも分かる。 つまりは……異世界ってことだな。 あぁ、理解した。 信じるかはまだ置いておくが。 俺は理解したことを頷く形で伝える。 「あぁ、良かった。 それでこの幻想郷なんだが……当然のように妖怪や妖精がいる世界だ。 なんせ、妖怪や妖精といった類は外の世界じゃ幻想だからね。」 ……俺はつまり、アレか。 ロープレの主人公みたいな存在か。 ただ目的は帰るだけなんだがな。 「それで、外来人は大体コレを一番に気にするんだが…… もし、正規の理由であんたが幻想郷にきたなら、外の世界には帰れない。 ただ、特例だったりしたなら帰れるよ。」 ……正規の理由ってのは、外の世界で幻想になるってやつか。 ……そんなはずはないだろう。 幻想になるような事をした記憶もないし、第一俺はゲームなんかに出てくるような能力は何一つないただの純粋な人間だ。 なら、帰れるわけだな。 「ここまでがあたいの説明だ。 何か、質問とかはあるかい?」 ……大分整理出来た。 要は『家に帰るのを目的とするRPG』の主人公になったって事か。 あいつの、話を信じるならだが。 当然信じられないだろ、こんなこと。 あんたは信じられるか? もし信じられるなら……それは、ただのお人好しか常識が無いかのどっちかだと思うぜ。 すまん持論だ、気にしないでくれ。 さて、整理も終わった事だしいくつか聞いてみるか。
/28ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加