そのもの

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『よかったぁ。私が神木さんのお母さんの子供じゃなくて』 まわりにいる奴らも そうだよねぇ 何て言って 笑いあってる 『どうせ西城君の事も体で誘惑でもしたんでしょ?』 はぁ? わけわかんない どうして悠人を誘惑しなきゃならないの? ってゆうかその前に 悠人を巻き込むってゆう事にはらがたつ。 黙ってればいい気になって 何様だよ こうゆう奴がいるから世の中が狂っていくんだ。 バカバカしくて相手してるのに疲れてくる そんな事を思っていると 廊下の窓からこちらを向いた悠人の姿 『そんな事してる奴って最低だよな~』 いつもよりも真顔で 少しひきつった笑い 悠人が悠人じゃなかった 『優梨。もう言ったらいいじゃん』 何かをわかっていたように… 『俺の知ってる優梨なら今頃殴り倒してるか、ボロクソに言ってるかと思うよ』 そう言うと私の中での糸がほどけた 『私は私の人生を歩くの!あんな奴と一緒にしないで!!」 シーンと静かになった空間 それが…私の世界になった時 だって…勝手に思った そんな夏の思い出てゆうか悠人に助けてもらった時の事か。 「あのさ…そいつは?」 悠人が信夜を指さした。 あ、そっか… 「えっと…」 再婚相手の息子 そんな言葉を軽々しく言ったら私的にもなんか重い気がしてつっかかった。 すると信夜がこっちを向いて、私の肩をだきよせ 「優梨の彼氏でーす」 「えっ!?」 「うそっ!?」 悠人と晴海は目をまんまるくして私と信夜を交互に見た 私はすぐに信夜の頭をバシッと叩き違うと否定した 「本当に違うから!信夜は――」 「優梨の弟でーす。残念でした」 そっか…言わなくたっていいんだ… 私バカだ 自分の事もろくに考えられなくなってきた。 「ありがとう」 小さく呟くと信夜はそっぽを向いて知らん顔していたけど髪の毛からのぞかせる耳は微かに赤くなっていた。 いいやつじゃん この時から…時計が一秒ずつ刻み始めたんだ。 私そのものの人生が始まるんだ。
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