#01「出会いは偶然か必然か」

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放課後、いつも通り私は下駄箱で靴を履き替えていた。 「なあ、伊坂さん!」 声のした方に目を向けると、そこには見覚えのある赤髪の男の子。 軽音楽部の安田一馬くん。 高校生バンドの中では有名なギタリスト。 ロックが好きなのは、綺麗な赤髪を見たらわかる。 「…なんですか?」 「戻ってこいよ…俺らんとこ」 "戻ってこいよ" 私の心臓は、ドクンと波打った。 私を必要としているの? でも、怖い。あの孤独感…もう味わいたくない。 私は自ら彼の優しさを無駄にした。 「私は…二度と歌わないの」 安田くんに背を向けて、私は歩き出した。 悲しい表情を見せた彼に気づかない振りをして。 「ごめんなさい…」 一人吐いた呟きは、夕焼けに染まった暁の空に消えていった。  
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