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『ただ今、電話に出ることができません。
ご用の方は…』
…もう何回この応答メッセージを聞いているんだろう。
人の気も知らないで、抑揚のない無機質な音声。
先生の携帯の着歴は恐ろしいことになってるんだろうな…。
でも、ぼーっと待ってなんかいられない。
「もしかして、わたしとのことがバレて、今頃、糾弾されてるんじゃ…。」
学校から帰ってから、もう二時間以上が経過している。
わたしと別れた後、有森君が職員室に行き、他の教師に今日みた一部始終を報告して……
それはなくても、
友達か誰かに話しをして、学校中にあんな噂や、こんな噂が……
不穏な考えばかりが頭をよぎる。
わたしは、もう一度リダイヤルボタンを押す。
『ただ今、電話にでることが…』
…ピ。
「あーーやばい。
どーーーしよ…。」
電話を切り、部屋のベッドに倒れ込む。
枕に顔を埋めた瞬間、
~~♪~♪…
放り投げた携帯が着信を告げた。
わたしは素早く起き上がり、それに手を伸ばす。
表示される先生の名前。
『小澤 洋介』
「もしもし!先生!?」
「学校でたら『先生』は禁止です~。」
おどけた声。わたしは拍子抜けしてしまう。
「…なんかあったか~?
俺の着歴、埋まったぞ、お前で。」
この呑気な様子だと、まだバレてないな…。
わたしは、ひとまずホッと胸を撫で下ろす。
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