彼と彼女のカクシゴト

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別館にあるこの理科室の管理は、小澤先生だ。 放課後に、ここで彼以外の姿を見たことがない。 付近の廊下や、階段でさえも。 だからこそ、さっきはふたりとも安心して、あんなこと… 扉のすぐそばまでたどり着く。 それは、やはり数センチ程、中に開いている。 「…誰か、いるの?」 恐る恐る、声をかける。 自然に、前屈みになってしまう。 カチャ… また、ガラスがぶつかる音。 …キィッ 扉が中に引っぱられていく。 何かの鳴き声みたいな音をたてて。 扉が開いたそこには… 一人の男子生徒の姿。 「…有森くん。」 同級生の有森 遥人。 彼が、立っていた
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