彼と彼女のカクシゴト

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ガタガタッ 出口前の机の椅子を倒してしまった。 でも、そんなのに構っていられない。 わたしは、誰もいない廊下を全力疾走する。 見られた! 見られた!! 見られた!!!! 「どっ…どうしよう。」 やっとの思いで、下駄箱までたどり着くと、わたしは、その場にへたり込んだ。 最優先の対応としては、まず何よりも、彼に口止めをしなきゃならない。 そんなのわかってる。 でも、あそこでは、 あんな極寒地帯の最中では、そんなの絶対無理だ。 まともに話ができる気がしない。 一刻でも早く、逃げ出したかった。 「やばいよー…  よりにもよって、なんで有森君…。」 わたしは、うずくまり、頭を抱えるしかなかった。
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