水色、襟。

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見えた、と思ったら、汐夏はしゃがみこんだ。 踞ったまま、動かない。 慌てて駆け寄って顔を覗きこむと、顔が真っ青だった。 貧血を起こしたらしい。 保健室まで付き添って、彼女の、高等部にいるという兄が来るまで一緒に待った。 保健室に迎えに来たのが、尋汰だった。 「よ。」 尋汰は左手を上げてぼそっといった。 「わりぃな。しおは?」 「ねてる」 私もぼそっと言った。 保健室には、金魚のいる水槽の、ぽこぽこという間抜けな音が響き、おれんじ色の西日が差し込んでいた。
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