Chapter.1

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 その優しさが嬉しくて笑っていると、グラウンドの向こうから、『先輩っ!』だなんて叫びながら走ってくる三人組が見えた。  一年生の星ちゃんとちーちゃん、あとコタロー。野球部にちょくちょく顔を出している内になついてくれた一年生だ。 「先輩っ、ちわっす!」 「こんにちはー。相変わらず元気だねぇ」  にっこり笑う彼らの後ろにシッポが見えて来そうだな、なんて思っていると勇人もそう思ったらしく、「お前ら犬みたいだな」なんて言っていた。 「そりゃないっすよ、栄口先輩っ。星ちゃんとコタローならともかく、俺も犬だなんて。俺、狼とかライオン希望っ!!」 「んー、百歩譲って、チャウチャウでどう?」 「犬って部類から抜けてないッスよ!!しかも何か可愛いし。そんなら星ちゃんとコタローは何犬ッスか??」  勇人はまたにこりと笑って『柴犬とトイプードルかな』、なんて言ってみせる。うーん、星ちゃんのお利口さんなとこと、コタローの元気なとことか当たってるような気がするなぁ。 「おー、何話してんだ??」 「あっ、田島先輩達!!ちわっス」  またグラウンドから田島君をはじめ、花井君に阿部君とか、2年の部員がぞろぞろと出てくる。  それから、皆で笑いながら、さっきの事を話したり、練習中にあった事を話したりした。  楽しくて、暖かい時間。  ふと、穏やかな視線に気付いて顔をあげると、隣で勇人が優しく笑ってくれていた。 小さな幸せ <こうした毎日が、たまらなく幸せ>
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