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「ま、待ってくれ…頼む…殺さな…ぎぁあああ!」
北海道の大平原。
暗く澄んだ夜空に火柱と断末魔が打ち上がる。
肉と髪の焼ける臭い。
暗い草原を真っ赤な炎が煌々と燃え広がり更に幾人かの命を燃やす。
「アンタ達、“あの組織”の末端よね」
炎の地獄の中に立つ、一人の少女が声を出す。
真っ赤な髪を腰まで伸ばし、深紅のトレンチコートに身を包んだ彼女は生き残った一人の腰を抜かした男に問いかけた。
「あ、あの組織…?」
「とぼけないで!」
少女は男の顔を蹴り上げる。
「ぐがっ…まて、分かった。お前の言う通だ」
男は口元の血を拭って答える。
少女は男に馬乗りになり胸倉を掴む。
「組織の構成と、トップが何人か言いなさい」
「それは…言えん…」
男は苦い顔をして顔を背ける。
「あっそ」
少女が言うと同時に男が燃え上がる。
「がぁああああ!!」
男の奇声にも近い悲鳴が辺りに響く。
燃えた後にはその男のいたという“跡”しか遺っていない。
燃えかすの近くに佇む少女。
それを取り囲む様に燃やされた男の部下が展開する。
「アンタ達は…吐いてくれるんでしょうねぇ!」
少女が男達に怒鳴る。
それと同時に辺りに火柱が数本立つ。
「さぁ…いくわよ」
少女は不気味に笑った。
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