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下の階に下りた龍治は、まっすぐ食卓へは向かわず和室の襖を開いた。
中は畳み6畳が敷き詰められており、部屋の隅には仏壇がおいてある。
龍治は部屋に足を踏み入れ仏壇の前に座り、手を合わせる。
仏壇には笑顔で写る男女の写真があった。
「父さん、母さん、今日も緋璃姉は人の部屋に入りこんで、挙げ句にまた黒焦げのダークマターを食わされて仕舞うようです」
龍治は朝の惨劇を亡き父母に報告する。
「あっ!またお父さんとお母さんに言い付けてる!」
言いながら入って来た緋璃。頬を膨らませて部屋に入って来た。
「別にわざと黒焦げにしたわけじゃないもん!お父さんもお母さんも分かってくれるもん!」
緋璃は駄々っ子の様に言うと龍治の隣で仏壇に手を合わせる。
「どうか明日は黒焦げにならないようにお父さんもお母さんも見守って下さい!」
緋璃は言うと立ち上がり、龍治に手を差し延べる。
「さっ、朝ごはん食べよ?」
「あぁ、そうだな」
龍治は緋璃の手をとって立ち上がる。
緋璃は先に部屋を出て、龍治も続いて部屋の襖に手をかけた。そして一度振り向き、
「んじゃ、父さん、母さん、行ってきます」
と、笑って言うと襖を閉めた。
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