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アレギスに着いた一行は、先に宿の予約確認を済ませる。その宿で蒼龍はふと向こうの男性に目をやる。黒の長髪をした影のある男性だ。
「申し訳御座いませんが、本日満員でして…」
どうやら宿に泊まれないようだ。慌てる様子も無く、彼はそこを後にしようとした。
「満員?そんな感じはしないがなぁ」
ふと隣りのゼイスは呟き、貰った鍵7つを見る。
「一人一部屋か…。なあ蒼龍、一人一部屋じゃなくて良いよな!」
「え…あ、うん!!」
「よし!」
そう言うと彼は男性の元に向かった。
「こんにちは。俺はゼイスと言うんだが、ちょっといいかい?」
「なんだ?」
「実はこっちで部屋を取り過ぎたんだ。なので一部屋代わりに泊まるかい?」
「だったら…」
「あー代金は良い。貰ってやってくれ。」
そう言うと鍵を渡した。
「外は寒いだろ?うちらも一人一部屋なんて贅沢過ぎるからさ。」
笑顔でゼイスはそう言うと、男を軽く叩き片手で軽く会釈し踵を返し仲間の元へ歩いて行く。男は不思議そうにそれを見つめていた。
蒼龍は宿も決まったので少し情報収集をして見る事にした。町ではやはり賞金首の男の話が話題になっている。近くの魔族に侵略された街クーデンスからやってきた事や、ゲールと言う名前で1000Gの賞金がかけられている事などが分かった。恐らくは魔軍の一人だったのだろう。
ある程度終わった蒼龍は部屋に帰って今日は寛ぐ事にした。図書館から大量の本を持ち込んで、笑顔で彼流の寛ぎ方に入った。
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