Innocent Christmas

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不意に冷たい風が、窓から吹き込んでくる。 と、少年がハッとしたように窓から顔を出す。 「雪だ。雪だよ。めっずらしいな~。ホワイトクリスマスじゃん!」 少年が、おどけた声を出す。 この地方での12月の降雪は、滅多にないことだった。 「風花じゃないの?」 少女の言葉に、出窓から肩まで乗り出して空を見上げた少年が叫んだ。 「違うよ。降ってるんだ。これ、ちょっとは積もるんじゃねえかな?街のやつら、うかれてるぜ、きっと。」 少年は楽しそうに少女を振り返った。 少女も、つられるように微笑む。 「明日、街へ行かねえか?」 尋ねる少年は、いつもよりもずっと大人に見えた。 少女はためらうことなく頷くと、これまでにない、やさしい穏やかな微笑を、初めて少年に見せた。 屈託のない少年の笑顔を見つめながら、少女は思う。 自分にとって今日と言う日が、そして彼みたいな友だちを得たことが、これまで生きてきた中で一番の贈り物かも知れない――と。
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