Aー002 始まりは唐突に

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10時07分 「母さん仕事行くからね、ちゃんと朝ごはん食べてよ」 下の階から母親の声が聴こえる。 聴こえたけど、 別のことで頭がいっぱいだった。 「フン~~ッ、 ハッ、 フ~~ッ……」 自分の部屋で和真は息を荒くしていた。 別に自慰行為をしてる訳ではない。 腰を低くした状態で爪先立ちをする。 ケツを少し浮かし、 ドアに寄りかかる。 首とドアノブがベルトで繋がれている。 座れば首が締まる長さだ。 「ンーッ、フンッ…、 フ~~ッ」 何度か躊躇する。 怖い、 やっぱり怖い。 机には起動しているパソコン。 画面には和真への中傷的な文が幾つも、 原因は和真が自殺予告を書いたから、 ほぼ全員が、 「絶対死ねよ? 本当にやったら拍手してやんよ」 自殺を応援する文だった。 書いてる人達はどうせ嘘だと思ってる。 が、 嘘ではない。 和真は本当に自殺する気だった。
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