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一瞬、
時が止まったかのように静かになった。
何がキモいだよ!?
どこがキモいだよ!?
言ってみろよ!?
そう言ってやりたかった。
そんな声は出ない。
出るのは荒い鼻息だけ……。
「ハァ……ハァ……」
和真はそのまま階段で下に降りていく。
うわ…いきなりなんだよ?
マジでキモいンだけど
キモ
キモい
キッしょ
人の心の声、
和真にはそれらの声が聞こえていた。
生まれつき、人の心の声が聞こえてしまう異常な体質だった。
だから、人の本心が聞こえてしまう。
その人が悪い人間なのか、
なにを考えているのか、
そんな人を選別するようなやり方に和真は疲れた。
人と接することを止めた。
自分が人間だとは思えなくなっていた。
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