canis lupas

夜の森

突然、黒い塊が飛んできた。

すごい勢いで飛んできた其れに押し倒されて、僕は地べたに仰向けに引っくり返ってしまった。

目の前に近づいた顔を見て、血の気が引いた。

密生した黒い長い体毛、ブルーのガラス玉みたいに光る眼。
大きく裂けた口には逞しい犬歯と真っ赤な舌が覗いている。