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1分後。
返ってきたのはメールではなく、電話だった。
『ピリリリリリッ!』
てっきりメールが返ってくるものだとおもっていた。
だから私はメールの着メロではなく無機質な電子音が部屋に響いた時、
慌てて通話ボタンを押した。
「もしもし、優希?」
聞こえてきたのは、いつものおちゃらけな声ではなかった。
『いきなり電話してわるいな。おれさ、ちょっと咲希に伝えたいことがあるんだ。メールだと時間かかるからな』
「ううん、いいよ全然。……で、なに?」
――ドクン、ドクン――
『伝えたいこと』という言葉と、
優希のいつもより真面目な声によって、
私の心臓の鼓動が速くなっていくのが分かる。
この短い、3秒くらいの『間(ま)』に、いろんな想像や思いが
私の中で渦巻いた。
なぜか、
誰かが愛する人に思いを伝えるときのような、『空気』を感じてしまったのだ。
そのくらい、優希から真剣さが伝わってきていた。
もし、本当に告白だったときの心の整理をつける時間があるわけもなく、
優希は
そのままの口調で、話をつづけた。
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