首なしライダー

5/5
前へ
/8ページ
次へ
目の前を横切るトンネルの壁を見ながら、止まってくれと必死でレバーを握る 制御を失った車は、何回転かして道の真ん中でようやく止まった うなり続けるエンジン 友人は固まった様にアクセルを踏み続けている 「おい!おい!しっかりしろ!!」 肩を掴み、激しく揺さぶる すると呪縛から解けた様に、アクセルから足を離した 相変わらず涙目で口をパクパクさせている こんな所から1秒でも早く逃げたい その一念で友人を助手席に引っ張りこみ、運転席に座る 慌てて車を来た方向に向けるとアクセルを踏む ただただ前を見て必死でハンドルを握った・・・ 無言のまま走り続けて、しばらくして町の灯りが見え始めた頃、口をパクパクさせていた友人が声を出した 「・・・ぁった」 「!! 何だよ!?」 いきなり喋り出した友人に驚きながら、聞き取れない声に聞き返した 「目が・・・合った」 震えた声で続けた 「もげた首・・・ヘルメットの中の顔と・・・目と・・・目が合ったんだ」 「何言ってんだよ!」 まだ混乱している頭 少しでも遠くへ、さっきいた場所からも、あったであろう事からも逃げ出したかった そんな時に、引き戻す様な友人の言葉に怒りさえ感じた 「聞いてくれよ!話してないと気が変になりそうなんだ!」 震える声で、涙を流しながら話す友人の言葉を、それ以上遮る事ができなかった 震える消えそうな声で友人が言うには、目が合った瞬間に、目をそらす事も身体を動かす事も出来なくなり、頭の中に(コッチヘ・・・コッチへ・・・ツイテコイ)と響いてきたと言うのだ 逃げ出す事に必死だった自分は気付かなかったが、トンネルは後少しで出口だったらしい そしてその先がカーブになっており、バイクは真っ直ぐ闇の中に走り去って行ったという事も・・・ 興味本意で心霊スポットなどに行くことはあまりオススメできません・・・
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加